POSITISM

適度に適当に。

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世界の終わりを変えるモノ - 第一話 -


ハコニワノベル

 太陽と月が滅び
 世界は何もなくなる
 混沌の大地
 世界の終わり


 四詩からなる終わりの予言。しかし世界は平穏だった。退屈そうに神王は頬杖をついた。

「のう、ヨルド。終わりの予言は真だと思うか?」

「どうされましたかの、神王さま。あなたさまらしくない」

「こうも平穏だと、まるですでに世界は終わっているようではないか」

「フォフォフォ……。それはまた贅沢なお悩みですな。しかし予言は真実に他なりますまい」

「……そうか。いや、そうであろうな。だからこそ準備はしておかねばならん」

 神王は腰を上げると夜空色のマントを翻し、王の間を出て行った。神王の相談役でもある三賢人の一人、星のヨルドはその場に残りあやしく微笑んだ。



   ◇



 深い紫色のハードカバーをゆっくり閉じる。辞典ほどの厚みのあるその本を膝の上に乗せて眺めた。この本を読むのは何十回、いや何百回目だろうか。昔、祖父が海外の古本屋で見つけてきたというその本には「太陽と月の姫」というタイトルが付けられている。
 貰った当時はアイスランド語が読めず挿絵を眺めるだけだったけれど、小学校高学年の頃から辞書を片手に翻訳しながら読み進め始めた。元々読書は好きだったので、読む前に翻訳するという作業が、今まで読んでいた本よりも少しだけ謎めいていて楽しかった。まるで宝箱を開くような感覚で、毎日翻訳しながら読み進めていた。

「ちょっと、ケイ!今の話ちゃんと聞いてた?」

「え?あ、うん。聞いてなかった」

「んもーケイは、本を読み出したら本の世界に入り込んじゃうんだから」

「うん、えっと、ごめんね」

「ま、いいけどさ。ケイにとって読書は呼吸するのと一緒だしね」

 そう言って隣に座り込みながら、ひなちゃんはニカっと笑う。春野日向、幼稚園からの幼馴染であり親友でもある。名前をそのまま表したような人で、明るくてとても優しい。私はいつもひなちゃんに守られていたから、ひなた(太陽)がいないと輝けない月みたいな奴だと、よく男の子達にからかわれていた。その度にひなちゃんが怒って、からかった男の子達を追い掛け回していたけれど。

「でさ、明日の予定は空いてる?」

「えっと、うーんと、あ、図書館に本を返しに行かないといけない」

「そっか、じゃぁ午後からなら空いてる?」

「えーっと、うん、大丈夫だと思う」

「よし! じゃぁ、十五時頃に図書館まで迎えに行くね」

「うん……。あ、あのね、ひなちゃん」

「ん?なーに?」

「その、何するの? 明日」

「そんなの合コンに決まってるじゃない!」

「……合コン?」

「うら若き乙女が二人、こうして毎日寂しく過ごすのも悪くはないんだけれど、やっぱり王子様に抱かれてみたいじゃない?」

 ひなちゃんはきらきらと瞳を輝かせながら自分の肩を抱き寄せている。とても嬉しそうだから、なんとなく微笑んでしまった。ひなちゃんはそれに気付くと恥ずかしそうに「ごほん」とワザとらしく咳払いをした。

「あのね、ケイ」

「なに?」

「ぶっちゃけるとさ、私あなたが心配なの」

「心配……?」

「だってケイったらさ、幼稚園のときも、小学生のときも、中学や高校のときだって、ずーっと好きな人とかいなかったでしょ? このままケイが誰にも恋することなく死んでしまったら、私は悲しいわ!」

 オーバーアクションで泣くような素振りを見せながら、ひなちゃんが力説してくれた。だけど実はひなちゃんが知らないだけで、私は幼稚園のときも、小学生のときも、中学や高校のときにだって好きな人はそれなりにいた。それを誰かに言ってしまうと、魔法が解けてしまうような気がしていたから、誰にも、もちろんひなちゃんにだって話さずにいただけだ。

「とにかくさ、ケイはインドア過ぎるから出会いとかないでしょ? たまには外に出よう! ね?」

「うん……。それは別にいいけど」

「それは、ってことは他にもなにかあるの?」

「あのね、知らない人と会うの、なんだか怖いなぁって」

「あぁ、それは大丈夫だよケイ! 変な男が寄ってきたら私がコテンパンにしてあげるから!」

 どん、と胸を叩くひなちゃんの姿が勇ましくてまた微笑んでしまった。ひなちゃんはじっと私の顔を覗き込んで「ケイはさ、すっごい可愛いと思うんだよね」とか真顔で言ってきたのがまた可笑しくて、それを言ったひなちゃんも可笑しくなったらしく、しばらく二人で笑い合った。

「それじゃ私は寝るけど、ケイはまだ読書?」

「うん。もう少しだけ」

「そっか、解った。けど夜更かしし過ぎるとお肌が荒れるから、ほどほどにしときなよ? 明日はさ、言うなれば戦争なんだからね!」

 握りこぶしを作って真剣な顔をしたひなちゃんは「よし、それじゃ、おやすみ」と言いながら自分の部屋に戻った。
 高校を出て同じ大学に通うことになり、お互いの親同士の了承を得て、私達は間取り3Kの部屋でルームシェアをしている。
 静かになった部屋のカーテンを少しだけ開くと、月が雲から出てくるところだった。ミルクティーを淹れて窓を開ける。夜風がゆっくりと部屋に流れ込んだ。淹れたてのミルクティーを一口飲んでから、再び深い紫色のハードカバーを開いた。



   ◇



 世界に影が落ちる時
 世界を喰らう怪物が現れる。

 その怪物は
 世界を終わりへと導く


 終わりの予言へと続くこの予言には、最近新たに見付かった続きがある。神王はその予言を思い返しながら学者達のいる書庫へと向かっていた。


 怪物はグングニルによって貫かれるだろう。


 つまり、怪物が世界を終わりへと導くが、グングニルと呼ばれる槍で怪物を貫き退治すれば、終わりの予言は変わる。それがこの神の国の学者達が預言書や古い書物を調べて導き出した答えだった。

「ブラム、グングニルがどこにあるか解ったか?」

「神王さま、申し訳ございません。国中の書物を調べてみても、新たに見付かったあの予言以外に、グングニルのことはいずれにも書かれていないのです」

「……そうか。しかし準備はしておかなければならん。終わりの予言は免れねばならんのだ。引き続きグングニルについて調べよ」

「ははっ、かしこまりました」

 神王は世界を制するのは自分だと信じて疑わなかったが、四詩からなる終わりの予言が気になっていた。もしも予言が真実であるなら、世界を制することはできない。神王はヨルドの書斎へと出向いた。

「ヨルドよ、八百年もの間、世界を見てきたその方の知恵を借りたい」

「フォフォフォ……。どのような知恵でございましょう、神王さま」

「グングニルだ。グングニルを我が手にしたい」

「これはこれは……グングニルとは。ふむ、終わりの予言を変えなさるおつもりですかな?」

「そうだ。ワシは世界を変え、世界を制する」

(フォフォフォ……、この男、相当な強欲じゃわい)

「なにか言ったか?」

「いえいえ、なにも。そうですな、わたくしめも名前しか知りませぬが……。ふむ、グングニルを知ろうとするならば、世界中の書物を手に入れることが一番手っ取り早いでしょうな」

「それはつまり……、戦争を起こせということだな?」

「さすが、神王さま。その通りにございます。終わりの予言のその時が来る前に、世界中の書物からグングニルの所在を掴み、グングニルを手にする。それこそが世界を変え、制する近道ですぞ」

「そうか。このまま何もせぬまま滅びることを待つのは愚かなことだ。兵を集め伝えよ! 我が神の国は世界を救うために、世界中の書物を集める。それを邪魔するものは蹴散らせ!」

「ははっ!」

 傍に居た兵が神王の命令を伝えるために走り去るのを見届けて、再びヨルドはあやしく微笑んだ。

(まさかこれが世界を終わりへと近付けているとは思うまいて……、フォフォフォ……)




第二話へ≫

COMMENT

●春野ひなたさん

あなたがいて
僕がいる。
それだけで十分だよ。
(↑誰だよ、さらに何のレスだよ)

>神話は好きなのでどんな展開になるのかホントに楽しみです。

神話好きの方を落胆させないように
んで、全体的に楽しめるものになるように
楽しんで書いていきまーす。

わーたーしーがーいーるーーー!!
感動!!

神話は好きなのでどんな展開になるのかホントに楽しみです。

さて、第2話も読んでこよ♪

●ariesさん

始まっちゃったー。
楽しんで頂けるようにがんばります。


●黒さん

これ、まとまるのかな?(自問自答か)


●るどさん

ほんとだ!神話だ!
どんな展開にするつもりなんだろう?(自問自答2)


●ともさん

ありがたく使わせて頂きました!
ほんとどんなお話になるんだろう?(自問自答3)

わぉー!「合コン」、いきなり出てきてびっくりしました!
どんなお話になるのかワクワクです♪

わー、今回は神話みたい!
どんな展開になっていくのか楽しみです☆

世界観が色々あって面白いなぁ

すごいなぁw
  • 2008.03.04[火]

始まってる(ワクワク
キーワードが間に合って何より何より。
今回はどんな風に登場するんだろ。

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