POSITISM

適度に適当に。

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PICO - 第1101話 -


ハコニワノベル

「え?青春18キップって十八歳の時しか買えないんじゃないの!?」

「あんたは最近勉強するようになったと思ってたけど、根本的な部分は何も変わってないのね」

「じゃぁ、なんで青春18キップって言うんだ?」

「さぁ?学生がメインターゲットだからかな?長期休みと重なるように販売してるし」

「恵もさ、変なとこに詳しいの変わってないなー」

「どうせ私は成長してませんよーだ」

 一週間寝込んで目覚めた翌日、私は例の【P-ライジン】のおかげですっかり回復してしまった。実はもう入院する必要はまったくないのだけれど、この頼りになるようでならない、変わってしまったようで変わっていない、相変わらずな幼馴染との時間を楽しんでいる。
 栄一は元気ではあるものの、左腕は未だに動かせないままだし、左足はまだしばらくギブスが取れないらしい。その代わり、リハビリは順調にこなしているらしく、リハビリの担当医を驚かすほどの回復力とのこと。動かない左腕もきちんと治ると聞いて安心した。

「退院したらどっか行こうぜー」

「どっかってどこよ?」

「そうだなー…温泉とか」

「温泉?嫌いじゃないけどさ、なんでそんな渋いチョイスなの?」

「いや、青春18キップを買ってみたいだけってのもある」

「なるほどね。あ…、そ、それって…その……二人っきりで行く…の?」

「うーん、それはそれで楽しそうだなー」

「ふ、ふーん。そ、そうだね」

 どうにも栄一を意識すると上手くしゃべれなくなる時がある。いや、もう完全に気が付いているのだけれど、それをどこかで認めたくない自分がいる。そう、私は栄一のことが好きだ。きっと、幼い頃からずっと好きだった。だけど、それを自分から伝えるのも負けたみたいで悔しいし、栄一にそんなこと言ってバカにされたら一生立ち直れない気がするので伝えていない。栄一は、私のことをどう思ってるんだろう。
 佐々木に捕まっていたあの日、栄一は結局病院の前で私を待っていて、あまりにも私が病院から出てこないので心配して、受付に聞いて第三処置室へ向かった。そこに誰も居なかったので、祖父に連絡をして病院内を探し回って第四処置室まで来たと言っていた。
 あの日、私がされていたことや、私の秘密も栄一は知らないと言い張っている。その後も聞いてきたりしてこない。きっと私への配慮なんだと思う。いや、私の為を思ってくれているに違いない。
 乙女チック全開で栄一の横顔をぼーっと見つめていると、急に「あぁ、そうだ恵」と栄一が振り返って驚いた。「なっ!なに?」とかどう考えても焦りすぎ。落ち着いて私。

「俺さ、忘れてたよ」

「何を?」

「いや、思い出したんだけどさ…。うーん、これはなかなか言い辛いな」

「…言い辛いようなこと?(もしかして!)」

「でも、まぁ、ここまで思わせぶりしといて言わないのは男としてダメだしな・・・あのな……」

「う、うん…(わ、わ、ど、どど、どうしよう、キャー!嬉しい!)」

「ちゃんとハーゲンダッツはおごってもらうからなー」

 私の投げた枕が栄一の顔面に当たる。「なにすんだ!」とか聞こえてきたけど気にしない。あからさまに腹を立ているように振舞ってから病室を出る。リンと冷えた窓の外から届く射すような寒さを感じながら廊下を進み、エレベータに乗る。
 一階のロビーは今日が土曜日ということもあってか普段より空いていた。入院している人や、お見舞いに来た人がチラホラ見える。沢山並んでいるソファーを横目に通り過ぎ、私は売店に入った。残念ながらハーゲンダッツは売っていない。仕方がないのでスーパーカップにしておいた。それから目に付いたシンプルでクローバーが小さく付いている便箋も一緒に買って病室へと戻った。

「あー寒かった」

「どこ行ってたんだよ…って売店!ハーゲンダッツ?ほんとにおごってくれるの?すっげ!今日雪でも降るんじゃないか?」

 喜んでいる栄一にスーパーカップを渡すと、あからさまに落胆して「えー?」と言った。「それが相応でしょ?」とだけ言ておいた。それでもすぐに栄一は「サンキューな!」と言いながらバクバクとアイスクリームを食べている。この時期にアイスなんてよく食べれるなぁとその姿を見ていた。

「ん?なんだ恵、欲しいのか?」

「え?私?別にいらないよ。ただよく食べられるなぁ…と思ってさ」

「冬に食べるアイスの方が、夏に食べるアイスより美味しいと思うけどな」

「そんなもんなの?」

「疑う前に食べてみろって」

 そう言いながら栄一は木のスプーンに一口アイスを乗せると、それを私の方へ伸ばした。

「ほら、あーん。」

「そ、そんな恥ずかしいこと出来るわけないでしょ!自分で食べれるわよ!自分で!」

「なんだ、遠慮しなくていいぞ?ほら、あーん。」

「遠慮じゃないわよ!私は自分で食べれるから、別に食べさせてもらう必要なんて…」

「うだうだ言ってると溶けちゃうから!ほら!ほーら!あーん。」

 硬く目を閉じて栄一の伸ばした手の先の、木のスプーンが乗せているアイスを食べた。「どう?」なんて聞かれても味なんてまったく解らなかった。




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COMMENT

●ちこさん

こういうの気にしだしたら収まらないですよね。
耳まで真っ赤になるような感覚。


●るどさん

あーん。っていいですよね。うん。


●まごすけさん

青春。それはまだ終わっちゃいない!
とは思いますが、思春期は確実に終わってますからね。
こういう初々しい気持ち、忘れずにいたいなぁ。


●まろん

一応キーワードは全て登場させるつもりで臨んでおります。
使いにくいキーワードだったんだぜ?

あま~~~~~い!

ここに来てキーワード登場サンクスw

あーーーー、青春だわー。甘酸っぱいわー。キュン死にするわー。

間接キスに、あーん、だからね!!!

もうっ!バカっ!(*ノωノ

うきゃっ 赤面!

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