POSITISM

適度に適当に。

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また逢えるまで。 - 最終話 -


ハコニワノベル

「・・・なさい!」

「・・・きなさいっ!」

「いい加減に、起きなさーいっ!」

 驚いてベッドから転げ落ちた。開けられた窓から風が入り、レースのカーテンが揺れている。なんだか蒸し暑い。

「やっと起きたわね。夏休みだからってダラダラしてるんじゃないわよ!あんたまだ進路も決めてないでしょ?」

 スラリと伸びる足、ミニスカート。ラインを強調する服。完璧なボディラインを誇示するかのようにモデルさんが取るようなポーズで綺麗な人が怒っている。誰だ?

「友達と海に行って楽しんだ次は、きちんと現実問題に向き合いなさい!」

「え?母さん?」

「まだ寝ぼけてるの?こんなに綺麗で素敵な女性は、アツシのお母さん以外にいないでしょ!?」

「もしかして僕ってまだ高校生?」

「あんた、遊びすぎて頭おかしくなっちゃったの?」

「ちょ、ちょっと僕トイレ!」

 後ろから「こら!逃げるなー!」とか聞こえる。なんだ、7年前の母さんはあんなに綺麗だったんだ。あれが7年後には三段腹になるんだから恐ろしい。僕はどうやらあの夏の日の翌日に来れたみたいだ。そっと呼んでみたけれど双子のピエロは現れなかった。しばらくしてから遅い朝食を取るためにリビングに行くと、まだ小言を言っている母さんがいた。

「本当にどうすんのよ?進学するの?就職するの?それぐらい決めなさいよー。」

「・・・うん。一応決めてるんだ。」

「えー!そうなの?初耳よそれ。で、どうするつもり?」

「僕さ、大学に行こうかなーと思って。」

「はぁ!?あんたほんとに頭おかしくなっちゃったの?わが息子ながらお世辞にも勉強が出来るとは言えないのに。」

「ダメだったらさ、専門学校に行こうと思う。」

「・・・それじゃぁ、とりあえず進学するのね?」

「うん。」

「解った。お父さんにはお母さんから伝えておくけど、お父さん帰って来たらちゃんと自分で言いなさいよ?」

「はーい。」

 夜、父さんに進学する意思を伝えた。父さんは「お前の人生だから、お前が決めた道を進みなさい。」とだけ言って承諾してくれた。部屋に戻って水槽を覗き込んでツイテルを見る。所狭しと元気に泳いでいた。
 僕はツイテルの身体を表すように両手の人差し指を立ててくっつけて、それを頭上へ突き出しながら叫んだ。

「ツイテル、テルテル、ツインテール!」

 同時にドアが開けられ、電話の子機を持ったまま唖然とする母さんがいた。

「あんた・・・やっぱり頭がおかしくなってるんじゃ・・・海で頭を強く打ったとかない?」

「そんなことないよ。それより、それ何?」

「・・・ん?あぁ、そうそうあんたが急に勉強するとか言い出すから、母さん家庭教師の人を見付けてきてあげたんだから!そしたらその家庭教師の先生があんたに代わってほしいんだって。」

 子機を受け取り耳にあてる。「もしもし?」と声を出すとやたらと声の大きな人がテンション高く話しかけてきた。

「私、アツシ君の家庭教師をすることになった、ミッチーです。よろしくね!」

 その後も「こう見えても現役の大学生なんだ。」とか「枝毛のないキューティクルが目印だから」とかあまり意味のない話を終えて、電話を切った。

「どう?家庭教師の先生と上手くやっていけそう?」

「うん。多分この先生、スキップしながらやってくると思うよ。」

「なによそれ。ま、あんたが何か目標を持ってくれるだけでも、お母さんは嬉しいわ。だからしっかりやりなさいよー。」

「はいはい。」

 それから僕は心に決めたことをメモ用紙に書いた。そのあとでベッドに横になって天井を見上げた。長い長い一日の中で、過去や未来のことを考えすぎたり、現在をなんとなくで過ごしていちゃダメなんだと学んだ。そのまま天井を見上げていたけどすごく疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
 翌朝、焦って目覚めた。自分の身体をなんども確認してみたけれど透けたりしていなかった。どうやら今現在の自分は変化に耐えられたみたいだ。・・・透ける?変化に耐える?あれ?なんのことだろう?そういえばおかしな夢を見た。赤色と青色のピエロがなぜかうなぎに乗って、寂しそうに手を振りながら『記憶は変化が適用されるとその現在までのものになるんだよー。』とか言われる夢。いや、寂しそうというよりは残念そうに近かったかな。まるでイタズラが失敗してしまったような、そんな顔だった。

「いい加減に、起き・・・てるわね。めずらしい。」

 母さんがドアを開けながらそう言ってきた。相変わらず綺麗なボディラインを強調しつつ、ミニスカートを履いている。なぜ家の中でミニスカートなんだ?とか思っていると持っていた電話の子機をチラチラと見せつけながら近付いてくる。

「あんたが急に勉強するとか言うから、頭でも打ったのかと思ったけど。なるほど、こういうことでしたか。」

「は?どういう意味・・・」

「菅那さんからお電話ですよー?」

「ぇ、ちょ!・・・は、早く代わっ・・・」

 なかなか子機を渡してくれない母さんにイライラした。子機を受け取ると「今度ちゃんと連れてきなさいよ。」とニヤニヤされて再度イライラした。ついでに子機は保留にすらなっていなくて愕然とした。

「も、もしもし・・・?」

「はい。おはよう、あっくん。」

 しばらく受話器の向こうでくすくす笑う声が聞こえる電話になったけれど、鈴ちゃんからの電話は、一緒に図書館で勉強しようという名目でデートのお誘いだった。電話を切ると慌てて身支度を整える。母さんが妙にニヤニヤして絡んでくるので「油断してると三段腹になるよ!」と冗談を言っておいた。目に付いた勉強道具をかばんに入れ、家の鍵をポケットに慌しく突っ込んだ。部屋を出ようとしたときに、なんとなく自分の部屋を見渡した。何の音もしない殺風景な部屋だ。「今度、熱帯魚でも飼おうかな。」水すら入っていない水槽を見ながら呟く。
 待ち合わせた駅で鈴ちゃんと合流して図書館へと向かった。二人ともなかなか話しかけれずにしばらくうつむいて歩いた。話しかけようとして目が合うと言葉がでない。「私、先行っちゃうよ?」鈴ちゃんがそう言って早足になった。追いかけようとしたときにポケットの中で違和感を感じた。鍵と一緒にメモ用紙を入れていたみたいだ。僕はそこに書かれている内容を読むとまたポケットにしまった。少しだけ前を歩く鈴ちゃんに追いついて、そっと手を繋ぐ。二人とも顔面が真っ赤になった。会話はないけど、二人とも手を離さずに歩き続ける。
 君を大切にしていこうと思う。自分も大切にしていこうと思う。今をこの瞬間を大切にしていこうと思う。手を繋いでいない左手でポケットの中のメモ用紙を少しだけ強く握った。





 君が消えないように
 僕が君を護って行こう。
 
 君と二人
 あの公園で
 七年後の初雪に
 また逢えるまで。





完。



≪第九話へ

COMMENT

●黒さん

ありがとうございます。
なんとか完結させることが出来ました。

>後は仕事がんばって!(鬼

が、がんばってる・・・はず。いや、きっと、うん、たぶん。


>ケアルダ!
ボミオス!(どういうやり取りだ)


●ミッチーさん

出演お疲れ様でした(笑)
書いてる本人も無事に終わってほっとしてます。
楽しんで頂いてありがとうございます。


●まごすけさん

ありがとうございます。
携帯でコメントが出来なくなってて
キーワードが送信されなくてごめんなさい。

また次回にご協力下さればと思います。


●るどさん

ツイテルはいつもあなたのそばにいるよ。
(いたら怖いよ)

>これだけたくさんの(ハチャメチャな)キーワードを使って

いやいや、これは初回だからかなり優しいキーワードが多かったです。
大変、組み立てやすい部品を頂いたなぁと思ってます。
「いいお話」と感じて頂けたのも「いいキーワード」がそろっていたからです。はい。


●ひなたさん

ありがとうございます。

>みんなのキーワードもちゃんと使って本当にお疲れさま。

それがルールですからね(笑)
書いている方も十分楽しませて頂きました。


●【未入力さん】

ありがとうございます。
書いてる側も違う意味でどきどきさせて頂きました。


●志津さん

一気読みありがとうございます。
少しでも読めるものになっていればなぁと。

優しいキーワードをありがとうございました!


●kayoriさん

ありがとうございます!

私の書いた物語でちょっとでも何か感じられたのなら
それだけで十分です。ありがたいことなのです。
いや、ほんと、うれしいなぁ。

ちょっと泣きました。。。

うぎゃっ、ヤラレタ~~~~~


お返しの一気読みしたった。(おおいばり)

素敵でしたっ ほんわかしました。
どきどきをありがとごぢゃましたっ 敬礼!

お疲れ様!!
最後はジーーーンとしちゃったよ。
えー話や~。
みんなのキーワードもちゃんと使って本当にお疲れさま。
たっぷり楽しませてもらったよ♪

ツイテル消えた。。(滝涙)

お疲れ様でした。
これだけたくさんの(ハチャメチャな)キーワードを使って
すごくいいお話ができあがってびっくりです★
発想が素晴らしかったなぁ。。

え、ええ話やあ…

涙ちょちょ切れるわー(←台無しw

うわぁぁぁぁ・・・。

最後、なんだかすごい感動なんですけどー!!
どうなるかと思ってドキドキしたけど、最後はほんわか終わって良かった♪
すごく楽しかったー!お疲れです!

(最後にまた出てきたのも笑えたw)

えぇ~はなしやぁ(泣)

この話好きだなー

執筆お疲れ様でした!

後は仕事がんばって!(鬼
最後に一言


ケアルダ!
  • 2008.01.18[金]

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