POSITISM

適度に適当に。

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また逢えるまで。 - 第八話 -


ハコニワノベル

「お、お待たせ。」

「・・・ううん。私も今来たとこだから。」

「えっと・・・今日はごめん。」

「え?」

「ほら、あのー、今日さ高校最後の夏休みの話しになったでしょ?」

「・・・うん。」

「で、僕が思い出せなくてさ。・・・ごめんね。」

「・・・それを謝るためにわざわざ?」

「いや、・・・それもあるけど、違うんだ。」

「・・・?」

「やっとね、思い出したんだ。鈴ちゃんに告白したこと。」

「・・・そっか。」

「うん。」

「・・・嬉しいな。だけどね、あっくん。私、もうダメなんだ。」

「どういうこと?」

「私ね、もうすぐ消えちゃうの。」

「それってさ・・・木っ端微塵になるってこと?」

「えっ!?・・・なんで?なんで知ってるの?」

「僕も、過去に行ってきたんだよ。」

「・・・そっか。」

 鈴ちゃんは「なら隠しても仕方ないか」と言いながら立ち上がると僕をまっすぐに見つめてきた。



「・・・私、欲張っちゃった。」

「え?」

「私ね、高校1年生の時からあっくんのことが好きだったんだ。」

「ぇっ?・・・え?う、ウソ・・・だって鈴ちゃんあの時彼氏がいたんじゃ・・・。」

「それ、ウソなんだ。」

「うそ・・・?」

「あの頃、3年生の黒井先輩からしつこく付きまとわれて・・・だからウソ付いたの。彼氏がいるっていうウソのおかげで黒井先輩から付きまとわれなくなったけど、逆に好きな人に好きと伝えられないままになっちゃった。」

「・・・で、でもなんで僕なんかを?」

「あっくんは、優しくて、強いから。」

「僕が・・・強い?」

「あの頃ね、黒井先輩のことが好きな2年生の女子グループから因縁を付けられちゃって、ことあるごとに呼び出されていじめを受けてたの。」

「そんな・・・」

「あ、やっぱり覚えてないんだ。」

「・・・なにを?」

「そんな私を助けてくれたのは、あっくんなんだよ?」

「・・・僕が!?」

「大雨の日、私その人たちに傘を壊されちゃって、帰ろうにも帰れずに壊れた傘持ったままでぼんやり雨を見てた。そしたらあっくんが来てさ、『菅那さん、これ使ってよ。僕は身体丈夫だから大丈夫!』とか言って雨の中走って行っちゃったの。でも翌日から二日間、風邪で学校休んでたけど。」

「そ、そんなのあったかなぁ・・・」

 ふと見ると、鈴ちゃんは思い出すように笑っていた。ただ、その指先が透けて見える。もうあまり時間がないのかもしれない。徐々に透けている範囲が広がっていくみたいだった。



「あとね、ゴミ捨て場に呼び出されて顔とか見えてる場所以外を殴られたり、蹴られたりしてた。そしたらね、あっくんがゴミ箱を沢山もって現れて、『すいませんけど、どいてもらえますか?』って言ってくれたんだ。」

「いや、それは・・・僕もいじめでゴミ捨てを・・・」

「そのあと、あっくん・・・女の先輩にいちゃもん付けられたり、叩かれたり、蹴られたりしたんだけど、全然リアクションせずに黙々とゴミを捨ててた。」

 ・・・思い出した。何もしてないのに罰ゲームで学年中のゴミ箱を持って行ってゴミ捨てをしなくちゃならなくなったんだ。で、ゴミ捨て場まで行ったら女子がいて、ヒステリックにいちゃもんを付けられた気がする。そのあと、へたり込んでる鈴ちゃんがいて、一緒に教室に戻ったんだ。「もぉ!なんでゴミ捨て嫌だって言わないかなー!・・・ほら半分持ってあげる。」って言われたな。



「それで、ゴミ捨てが終わったあっくんが『で、なにか用ですか?』って言ったら、女の先輩たち気味悪がって帰っちゃったんだよ。あっくんは私がなにをされたとか聞いたり、言いふらしたりしなかった。」

「いや、あれは・・・その、当然のことをしたまでだし・・・」

「・・・何も言わずに当然のことをやっちゃうのはスゴイよ。かっこいいよ・・・。」

「いや、えっ・・・と・・・」

「それから私はあっくんのことが好きだった。だけど彼氏がいるっていうウソを黒井先輩がいる間は貫き通したかった。だから何も伝えないまま過ごしてた。春が来て進級したら、女子グループからのいじめは無くなったけど、あっくんとはクラスが別々になっちゃったし、廊下とかで会ってもあっくん、目を逸らして逃げちゃうから・・・私、嫌われてるのかと思ってた。」

「そ、それは・・・その、そうじゃなくて・・・」

「結局、そのまま3年生になっちゃって、私の初恋も終わったと思ってた。そしたら夏休みに海に行く話が出たの。それで私も誘われて、あっくんも来るって知って嬉しかった・・・そしたらあっくんから告白された。本当に本当に嬉しかった。だけど、なんて言っていいのか解らなかった。私、真面目に告白されたの今までの人生であの一回だけなんだよ?あ・・・、過去に行ってもう一度聞いてるから二回だけど。」

「・・・」

「何であの時、返事しなかったんだろう。何できちんと想いを伝えておかなかったんだろう。・・・卒業してからもずっと、ずっと後悔した。だってずっと、今でもずっとあっくんのことが好きだったから・・・。あの時に戻りたい、あの時に戻ってやり直したい。そう思ってたら双子のピエロが現れたの。」

 鈴ちゃんの身体は全体が透けてしまって、後ろのベンチがはっきりと見えてしまうほどになっていた。所々が淡く光っているようにも見える。

「私、あの双子のピエロが現れた時、これは神様がくれたチャンスなんだと思った。だから説明も聞かずにあの日に戻った。そして・・・、あっくんに告白した。その後、付き合って下さいってお願いしちゃった。本当はもう一度あの告白を聞くだけでもいいと思ってた。だけど現在に戻る前にどうしても答えたくなって、気持ちを伝えたくなって・・・私、欲張ったの。」

「そんな・・・」

「・・・現在に戻ってきた次の日にあっくんと再会しちゃうから、私、飛び上がるほど嬉しくなった。でも、あっくんはあの日、あの時、私が告白したことも、付き合ってくださいって言ったことも覚えてなかった。家に帰って双子のピエロに問いただしたら、私がしたことはやってはいけないことだと教えられたの。木っ端微塵になって消えてしまうことを知ったのもついさっき・・・。」

「・・・それって、どうにかならないのかな?もう一度過去に戻るとか。」

「ううん・・・。それは無理。」

「どうして!?」

「だって、消えてしまう現在を大きく変えてしまうのだから、結局同じことになっちゃうよ。」

「そんな・・・。」

「私があの素敵な告白を聞くだけで満足して、欲張らずに帰って来てたらこんなことにはならなかったのに。バカだよね、私。」

「・・・それなら、僕がもう一度戻って・・・」

「ダメだよ。だって私が消えちゃう現在を大きく変えてしまうことをしちゃったら、今度はあっくんが消えちゃうじゃない。私、そんなの嫌。私は自分のしたことの罰を受けるだけ。」

「でも、知らなかったんだろ!そんな理不尽なこと、何も言わずに受け入れるの!?そんなのおかしいよ!」

「やっぱり優しいね、あっくんは。最後にあっくんに会えて良かった。」

「ちょっと待ってよ!こんなのってないよ!」

「あっくん・・・好きです。大好きです。私を好きになってくれて・・・ありがとう。」

「僕だって、ずっと、ずっと鈴ちゃんのことが・・・」



 駆け寄ったけれど、鈴ちゃんは一瞬だけ強く光ってからシャボン玉が割れるように消えてしまった。駆け寄った勢いのまま、僕はベンチにぶつかってそのままベンチに倒れこんで泣いた。叫び声が消えた公園に何事もなかったかのように雪が降り出した。それはこの冬最初の雪だった。



≪第七話へ
第九話へ≫

COMMENT

●アホアホ国の国王陛下

コメント頂き、ありがたき幸せ。
また陛下のお目に留まれるよう
精進していきます。

すーずーーーーっ!!!!(驚!!!)

●るどさん

切なくなって頂けたのならありがたいです。
うん、ありがとう。
あと、不言実行はかっこよいですよねぇ。うん。


●黒さん

いやほんと黒い先輩ですよね。
きっと「ケアルダ」と言い寄って来てたんだと思いますw

「黄泉がえり」観たことがないので
機会があったら観てみたいです。うん。


●ミッチーさん

いや、ほんとにね
そういう感想を頂けるのはありがたいです。
ほんと、ありがとう。


●なつめさん

少しでも感情移入して頂けたならうれしいのです。
ありがとう。


●ひなたさん

雪、降ってきましたよ。
キーワードはすべて出揃いました。
あとは物語を締めるだけなのです。
がんばります。


●まごすけさん

ほんと、鈴ちゃん大人気でありがたいことなのです。
コメントがあると頑張れるんですよね。
どうも、ありがとう。

うわーーーー!!
鈴ちゃん、いかないで!(号泣

すずちゃぁぁぁん。

雪も降ったね~~(しみじみ)

鈴ちゃん…(´;ω;`)

す・・すずちゃん・・・
うっうっうっ・・・(号泣)

黒い先輩ね(笑)

あぁ、泣けそう。
黄泉がえりの最後とかぶったー。

いくなぁぁぁぁぁ。
  • 2008.01.16[水]

鈴ちゃーーーん!!!><。
切ないわぁ。。優しいわぁ。。(あっくん)

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