POSITISM

適度に適当に。

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また逢えるまで。 - 第六話 -


ハコニワノベル

 海水浴場に到着するとなぜか男子全員から荷物を「頼むわ!」と渡された。あぁ、そうか思い出せなかった理由が少し解った。そう、僕は高校1年のころからずっと軽くではあるけどいじめを受けていたんだ。確かこの日は雑用ばかりをやらされることになるはず。今になって思えばどうしてこれぐらい「辞めろ」とか言えないんだろう。いや、待てよ。今ここで反抗して言いなりにならないようにすれば、もしかしたら僕の人生はもっと良いものになったんじゃないか?よし。

「やめ・・・」

 木っ端微塵。不意に双子のピエロから聞いた話を思い出した。そうだ、自分で自分の人生を大きく変えてしまうのはダメなんだった。記憶を持ったまま過去に来れるのはすごいことだけど、それは容易く自分の人生を変えようとしてしまいやすい。あの時、こうしておけば。なんていうのは今までで何度も味わってきてるじゃないか。何か行動するにしても注意しないとけないな。そんなことを考えていたら急に怖くなってきた。

「ちょっとー!男子ー!笹川君に荷物押し付けるの、辞めなよ!」

「あー、鈴ちゃんたちも笹川に荷物預けていいって、な?笹川!」

 強く肩を叩かれて「ぇ・・・あ、うん。いいよ、僕が荷物運ぶから。」とだけ言った。満足そうに男子たちは海に向かって走っていった。女子たちは自分の荷物をしっかりと持ってその後に続いていく。僕と、僕の斜め前で腰に手をやりながら怒っている鈴ちゃんだけが取り残された。

「んもー!こういうのって嫌い。笹川君もハッキリ言ってやればいいじゃない!」

「んー、いつものことだから。」

「もぉ!なんでいつもそんなとこまで優しいかなー!・・・ほら半分持ってあげる。」

 鈴ちゃん、僕は別に逃げてるわけじゃないんだ。僕の今回の目的は「あの時」をしっかり忘れないようにするためなんだ。だから忘れていたあまり思い出したくない思い出だけど、また同じ経験をしたってかまわない。僕にとって大切なのは現在の僕なんだから。
 荷物を半ば強引に半分奪われて歩きながら思い出す。そういえば、この時よりも以前に同じようなことを鈴ちゃんに手伝ってもらったような気がする。
 二人で荷物を運び終えると、軽く泳いできた男子たちに買出しを頼まれた。思い出を頼りに素直に従う。なぜか思い出と少し違うような気がしたのは鈴ちゃんも一緒に買出しに来ていることだ。
 その後も、飲み物を頼まれたり、砂に無理やり埋められたりしたけれど、鈴ちゃんがこっそり助けてくれた。暗くなったら花火をしようという話になり、当然のように花火を買いに行かされた。そのときも鈴ちゃんが付いて来てくれた。

「えっとさ・・・みんなと一緒に待ってていいのに。」

「私が行きたいだけだからー。」

 大きな夕陽が海に沈んでいく。赤く染まった空とその色を写す海。夕陽は徐々に赤々と変色しながら海の彼方に沈んでいく。
 その景色を見て思い出した。僕は、鈴ちゃんに想いを告げずに卒業したと思っていた。だけど、この日、この時、この夕陽を見ながら僕は鈴ちゃんに告白している。
 告白をしたことは思い出したけど、告白の言葉が思い出せない。確かにこのタイミングで告白をしたはずだ。この告白が現在の鈴ちゃんが言っていた「あの時」なんじゃないか?思い出せ!どんな告白をしたんだ?早くしないと現在が大きく変わってしまうんじゃないか!?
 焦れば焦るほど、言葉は思い浮かばない。どうしよう。どう言えばいいんだ?

「おーい、どうしたのー?おーい、あっくん?」

 いつの間にか立ち止まっていたらしい。それを心配してか鈴ちゃんが顔を覗き込んでいる。あぁ、そうか。そうだよ。思い出した。海に沈む夕陽をバックに鈴ちゃんのシルエットが重なる。

「おーい、元気ー?」

「ずっと、君が好きでした。」

「へ?」

 僕は両手を伸ばした。手のひらで夕陽をすくい上げるように。

「え?なに?」

「僕からプレゼント。」

「ぇ?・・・なにもないよ?」

「こっちに来てもらってもいい?」

「え・・・?いいけどさ・・・。」

「夕陽の花束。僕は君のことが好きです。」

「・・・ありがとぅ。」

 一度経験しているくせに、逃げ出したくなるほど恥ずかしかった。高校3年にもなってなんというクサい告白をしてるんだ。いや、だからこそ記憶に残らないようにしていたのかもしれない。日焼け以上に顔が熱い。
 その後二人とも無言のまま大量の花火を買ってみんなの所へ戻った。日が沈み薄暗くなったころから僕たちは花火でおおはしゃぎした。花火が終わると告白タイムみたくなったけれどあまり覚えていない。僕は現在の鈴ちゃんが言っていたであろう「あの時」を、僕が鈴ちゃんに告白した時のことをしっかり脳裏に焼き付けていた。
 帰りのバス、電車の中でも僕と鈴ちゃんだけは無言だった。男子がゲームの話で盛り上がって「笹川はさ、じゅもんで言うとニフラムとかじゃね?」とか「まほうならケアルダだな。」「あはは!微妙!」とか言ってたけど気にならなかった。腕時計は午後9時を回っている。もうじきこの過去から現在に戻ることになるのか。ちょっと不思議な体験だったな。自分の記憶ですらなんとなくで覚えていたのがよく解った。僕はずいぶんと鈴ちゃんに助けられてた。ちゃんと覚えておこう。
 朝集合した駅に到着すると、それぞれが家に向かって帰っていった。僕は別に帰らなくてもあと数分で現在に戻るのでそのままぼーっとしていた。



「笹川君!」

 急に名前を呼ばれた。すると帰ったはずの鈴ちゃんが走って近付いて来る。息を切らせながら目の前に辿り着くと、呼吸も整えぬまま僕を見つめる。

「笹川君・・・あのね、今日・・・ね、私、告白して、もらって・・・嬉しかった。」

「ぅぇ!?あ、うん、あー、えーっと。うん。」



「わ、私も!・・・私も笹川君のことが好き!」

「っえ?」



「だから、私と付き合って下さ・・・」



 瞬間、世界が消えてなくなった。何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。いや、聞こえる。「未来に行きまショ、テールテル♪」ヘンテコな歌が聞こえる。それから「れっつごー♪」という掛け声。その次に聞こえたのはモーター音、それからブクブクとエアポンプの音だった。



≪第五話へ
第七話へ≫

COMMENT

●ミッチーさん

ね、どうなるんですかね?
(書いてる本人が一番気にしてます)

キュンキュンはさ、ほらまだこれからもあると思うじゃないですか。
なんだったら電話でもしましょうか?(1回500円でw)


●るどさん

やっと出したった!
ほんとに出す場所に困ってました。

両思いになる人と巡り会えばよいのですよ。うん。


●【未入力さん】←お名前プリーズ!

これからも時たま継続するつもりですので
また見に来てやってくださいませ。

※えっと、ケータイからのコメントだと思うのですが
 名前の入力をしたけど未入力扱いになっていたのなら
 ご連絡頂けるとありがたいです!


●黒さん

やっと出せたー。
ほんと困った。どうやって出そうか悩んだ悩んだ。
無かったことにしてやろうとかも考えた。
これでひとつ乗り越えたぞー!

やっとこさキター
  • 2008.01.15[火]

なんか面白いこと始まってるー!!!
甘酸っぱくてウズウズしました。(なんだそれ)
ちなみに私は呪文でいうならパルプンテだな。うん。(単なる危ない人だよね)

ケアルダでたwwwww

両思いや、いいなぁ。。シミジミ

あぁっ!!
鈴ちゃんの告白がっ!!
過去から戻ったらどうなるのー?!
すごい気になるwww

「夕陽の花束」いいなぁ。
キュンキュンしますた。
いいなぁ・・・・・。(相当羨ましいらしいw)

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