POSITISM

適度に適当に。

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また逢えるまで。 - 第五話 -


ハコニワノベル

「遅ぇーよ、笹川!」

「ほんとほんと、来ないかと思った。」

「へー、あと一人って笹川君だったんだ。」

「いがーい、笹川君ってこういうのに参加するんだね。」

 男子も女子も好き勝手言っている。そうそう、こうやって人数合わせで誘われたんだもんな。で、ちょっと嫌な気分になって帰ろうと思ったら、鈴ちゃんが来るんだ。

「ごめーん、遅くなっちゃったー。」

「鈴ちゃーん!大丈夫大丈夫!こっちも今やっと笹川来たとこだし、全然OK!」

 来た!うわぁ、やっぱり可愛い。現在の鈴ちゃんはあまり変わっていないと思ったけど、やっぱり成長してるんだなぁ。へぇ、この鈴ちゃんがあぁなるのか。そんなことを考えていると鈴ちゃんと目が合って、なんとなく微笑まれたような気がした。

「おい、笹川!なに鈴ちゃんみてデレデレしてんだよっ!w」

「鈴ちゃん、笹川が変なことしたらすぐ言って!俺がコイツぶっ飛ばすから!」

 鈴ちゃんは恥ずかしそうに「大丈夫」と言うだけで、他のやつらは大笑いしてた。(まったく、君たちはガキだな。)その後、全員で電車に乗って目的の海に近い駅に向かう。途中、杖を突いたおじいさんが乗ってきたので席を譲ってあげようと立ち上がると、同時に向かいに座っていた鈴ちゃんも立ち上がってなんだか気まずくなったりしたけど、電車での移動は順調に進み目的の駅に到着した。
 ホームに降りると、どこかしら塩の匂いがして全員のテンションが上がった。しかし、海水浴場まではここから更にバスで20分ほどのところになる。ジリジリと焼け付く日差しを出来るだけ避けながらバス停へと移動すると、ちょうどバスが行ってしまった後なのか15分待ちになった。「俺はコンビニに非難する!」そう一人が言うと続いてその他のやつらがぞろぞろとコンビニへ逃げ込んで行った。気付いたら鈴ちゃんと二人きりになっていた。

「やっぱり優しいよね、笹川君。」

「へ?え?あ、うーん、そうかな?」

「そうだよ、ほら、おじいちゃんに席譲ってあげたじゃない。」

「いや、あれは・・・その、当然のことをしたまでだし・・・」

 鈴ちゃんが顔を覗き込みながら「そういうとこがやっぱり優しいなぁ。」と少し冗談みたいに笑っていた。心の中は大人だけど、どうにも鈴ちゃんに見つめられたりすると照れる。なんとか平常心を保って「あの時」をしっかり覚えておかなくちゃ。

「あーぁ、このまま時間なんて止まっちゃえばいいのにね?」

「え?」

「あ!・・・ううん、なんでもないなんでもない。ほら、もう今年で卒業でしょ?そしたらみんなバラバラになっちゃうじゃない。ちょっと寂しいなーって。」

「あぁー、そうだね。今年で卒業しちゃうんだよね。」

「そうだよー、あっという間だったなー高校生活。」

「でもまだ半年あるよ?」

「うん。そうだね。あ、笹川君は進路どうするんだっけ?」

「僕?まだ決めてないんだけど、たぶん専門学校に行くんじゃないかな?」

「なんで決めてないのに専門学校に行くって解るの?」

「えっ!!?」

 そうか、ここは過去。僕は既にこの日を経験しているし、このあとの僕がどうなっていくかもそれなりに知っている。あまり迂闊なことは話さないほうがいいかもしれない。

「えーっとー・・・なんとなくだよ、なんとなく。鈴ちゃんの進路は?」

 そう言うと、鈴ちゃんは目を大きく見開いて僕の顔を覗き込んでいる。なんだ?聞いちゃいけないことだったのか?それとも鈴ちゃんの進路は有名で誰でも知ってることなのか?

「今、名前で呼んでくれた?」

「へ?え?・・・ぁ、うん。」

 そうか、しまった!僕は鈴ちゃんのことを苗字で呼んでいたんだった。心の中でずっと「鈴ちゃん」だったんだ。これは不味いことを言ってしまった。どうしよう、なんて言い訳すればいいんだろう。

「嬉しいっ!」

「えっと、ごめ・・・へ?」

「嬉しいなー。笹川君が私のことを名前で呼んでくれるなんて!こんなことあったかなー?いや、嬉しいからいっかー。」

「は、へ、えっ・・・その・・・」

「じゃぁ、私も名前で呼んじゃおう!アツシ君!んー、ちょっと硬いから・・・あっくん!うん、これで決まり。」

「あ、え、うん・・・えと、はい。」

「あははー、照れなくていいって!」

 あれ?この日にこんなに鈴ちゃんと話したか?そういえば現在で鈴ちゃんは僕のことを「あっくん」と呼んだ。それは過去にそう呼んだことがあるってことだ。そうか、こういう経緯だったのか。でもなんでそんな大切なこと忘れてたんだろう?

「でも、これはみんなの前では呼ばないようにするね。」

「へ?なんで?」

「私だけが笹川君を名前で呼ぶという特権を持ってるみたいだからw」

「そんな特権いる?」

 その後、しばらく笑い合った。そうか、みんながいる前で呼ばれることがなかったから覚えていなかったのか。もしかするとこの後もそう名前では呼ばれないのかもしれない。鈴ちゃんが冗談で言っただけかもしれないし。
 しばらくしてバスが到着すると、友人たちはまたぞろぞろとコンビニから戻ってきてバスに乗り込んだ。バスは窓を全開にして潮風を感じさせながら海水浴場の方へ走り出した。



≪第四話へ
第六話へ≫

COMMENT

●るどさん

甘酸っぱいよね。
思春期の恋愛感情って。

>好きな人を心の中では下の名前で呼んでるけど
>本人には苗字でしか呼べなかったw

呼びたいけど喉でつっかえて出てこないんですよね。
妙に緊張するし。あぁ、甘酸っぺぇ!


●黒さん

ほっこりさせたった!(自慢げに)
いやいや、何かを感じて頂けるだけで
ありがたーい!


●ひなたさん

こういう初々しい気持ちを持ってたこと
忘れずにいたいですよね。

乾燥してる季節に潤いを与えております!(大げさ)

下の名前で呼ぶのって特別な感じするーー!
潤ってるーー!!

ちょっとっつーか
だいぶほっこりしました。
  • 2008.01.13[日]

イヤン、甘酸っぱいわーー!甘酸っぱいわー!(二回)

そうそう、あったよね
好きな人を心の中では下の名前で呼んでるけど
本人には苗字でしか呼べなかったw
懐かしいわー(妄想中)

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