POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 22 -


ハコニワノベル

 砂の上を走ることがこんなに大変だなんて解らなかった。重たい、ただ足が重たく感じる。朝早くビランチャさんに叩き起こされて、強制的に走らされているのも大変だけれど、走ってる最中もなぜかビランチャさんが「早く走れ」だとか「朝飯はまだか」と、横を走り抜ける度に言われるのが大変だった。

「お前さん、こんなに時間が掛かってたら話にならんぞぉ」
「はぁ、はぁ、その、すいませ……ん」
「ほら、朝飯作れよぉ」
「そ、そんなのモニタを付けて通信を選択して頼むだけじゃないですか、それぐらい自分でして下さいよ」
「あぁ? なに訳の解らないことを抜かしてる? いいから返事して、朝飯作れよぉ」

 そういい残してビランチャさんは岩場の穴へ行ってしまった。どうしてリベルラの社員に通信してご飯を頼むくらい出来ないんだろう、あの人は。

「お疲れ様」
「あ、クローチェ。おはよう」
「おはよう。朝早くから出かけるから何してるのかと思ったら、走ってたんだ」
「うん、ビランチャさんに言われてね。あと、朝食を作れって言われてるんだ。それぐらい自分でやってほしいんだけどね」
「ミツルは、料理出来るの?」
「出来ないけど、モニタで頼むだけだし」
「モニタ? 誰かに頼むってこと?」
「あ……もしかして、チキューにリベルラ社のモニタなんてないの?」
「うーん、聴いた事ないよ」
「ということはさ、もしかしてクローチェって毎日自分で料理とかしてる?」
「ミツルはおかしなこと聞くんだね。私が料理してなかったら誰が料理してくれるの?」
「あー、そうなんだー、やっぱり……。あのねクローチェ、ひとつお願いがあるんだけど」
「ウフフ、朝ごはんでしょ? ビランチャさんの分も一緒に作ってあげる」
「助かったぁ、ありがとう」

 クローチェの作ってくれた朝食を僕とビランチャさんとクローチェの三人で食べた。食べている最中に「料理も出来んのか」や「足も遅いしのぉ」といったお小言を言われた以外は楽しい朝食だった。朝食後にロケットの知識を深めつつ、ロケットの組み立て作業に入った。ちなみに料理に関しては、クローチェに教わりながら一緒に作っていくことになった。ビランチャさんがクローチェの朝食を随分気に入ったからだ。
 チキューでのロケット技術はフィオーレのそれとは随分違う。この巨大な星から飛び出すために必要なエネルギーは凄まじい。一日作業をしてみて解ったのは、ビランチャさんと二人で作っていても何十年と掛かってしまうことだった。初日の作業が終わってから、言い付けられた筋トレをこなしたらその場で力尽きていたらしく、翌朝ビランチャさんに「ほら、十往復してこいよぉ」と起される始末だ。

「テラを早く迎えに行ってやらないとなぁ」

 砂浜を走りながらテラのこと、フィオーレのことを考えた。このままビランチャさんと二人だけで作業を進めても、ロケットが完成するのはずっと先の話だ。もっと人手がいる。単純に人数が足りない。せめて二年。せめて二年以内には完成させてフィオーレに戻りたい。そう決心して、僕は強く砂浜を蹴った。




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FARFALLA - 23 -


ハコニワノベル

「いやぁ、そう言ってもよ……」
「僕はチキューの外からやってきたんです」
「この星以外にも人がいるってことは理解できるんだけどねぇ」
「僕が住んでいる星の名前はフィオーレって言うんですけど、そこにこのチキューから女の子がやってきたんです。本当はその女の子と一緒にここへ来るはずだったんですけど、ちょっとした事故で置いてきてしまったんですよ。その子をちゃんとチキューへ連れ戻してあげたいんです!」
「いやぁ、だけど……なぁ?」
「大昔に人は宇宙へ飛び出したらしいけど、最近じゃ衛星を打ち上げるのも少なくなってるんだよ」
「ビランチャさんの話で、今でも宇宙へ飛び立てるロケットの作成は可能なんです! だからお願いします。手伝ってもらえませんか?」
「可能性があるなら、頑張れよミツル。応援だけはしとくからさ」
「……また明日、お願いに来ます」

 二ヶ月間、毎日ロケットを作りながら集落の人達にロケット作りを手伝って貰えないかを頼んでいる。朝食後、昼食後、夕食後に何度も何度も頼んだ。それでも誰も手伝ってはくれない。最初は話すらまともに聞いてもらえなかったことを考えれば、これでも進歩はしている。

「おいミツル。今日もみんな帰ったな」

 声の方を見ると、とても憎たらしくコメタが笑っていた。

「毎日毎日懲りないな、ミツル。みんなチキューの外とか興味ないってこと、そろそろ解れよ」
「それでも話を聞いてもらえるようになっただけマシだと思ってるよ」
「ふーん。なぁ、宇宙ってどんな感じなんだ?」
「そうだなぁ、こんなに大きなチキューが小さいと解るほど、大きなとこだよ」
「チキューが小さい? そんなバカな話だれが信じるかよ」
「……ぷっ、はははっ」
「な、なに急に笑ってるんだよ!」
「えー? だってさ、コメタって誰よりも興味津々だよね」
「ちが、違うっつーの。ちょっと聞いてみただけなんだよ」
「はいはい、それはどうもありがとう」
「お前、調子に乗るなよ! ノロマのくせに!」
「いつまでも人をノロマ扱いしてると、足元すくわれるぜ?」
「ふん、だったら俺を追い抜いてみろってんだ。このノロマバカ!」

 そこまで言うとコメタは走って行ってしまった。同じ方向から入れ違いでクローチェがやって来る。

「今日もなし?」
「うん。それでもみんな話は聞いてくれてるから、明日も頑張るよ」
「そっか。でも、きっといつか、みんな手伝ってくれると思うよ」
「ありがとう、クローチェ」
「食事の後片付けしちゃうね」
「あ、手伝うよ」

 食器類を洗いながら空を見上げると大きな雲が見えた。

「入道雲だね」
「ニュウドウグモ?」
「うん、あの雲が近付くと大雨になるよ」
「へぇ」

 洗い終わった食器を拭く。あれから毎日食事の準備をクローチェとするようになって、僕も料理が少しは出来るようになってきた。最初は簡単だろうと思っていたけれど、準備、調理、盛り付け、後片付けと中々大変だということにすぐ気付かされた。だけどその大変さと同じぐらい楽しさも解ってきたし、なにより「美味しい」と言って貰えると嬉しい。

「そうか!」
「どうしたの? 突然」
「実際にやって貰えばいいんだ」
「え?」
「いや、どうやったらみんなに協力してもらえるのか解ったんだ」
「どうするの?」
「ロケット作りをやってみて貰えばいいんだよ」
「けど、その話はミツルが毎日してるじゃない」
「うん。それは、いきなり本番だから駄目だったんだ」
「どういうこと?」
「つまり、小さい小さいロケット作りを体験してもらえばいいんだよ。今の技術でもチキューから飛び立てるロケットが作れるってことを、みんなに解ってもらえばいいんだ」




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