POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 15 -


ハコニワノベル

「テラちゃん、いらっしゃい。いつもの?」
「ううん、今日はホットで紅茶を下さい」
「紅茶ね、かしこまりました」

 日々の生活は変わらない。毎日カンクロとペーシに付きまとわれながら学校に行き、退屈な授業を受けて、帰りにこうしてヴェルネさんの喫茶店へ寄る。たまにカプリコルさんのお見舞いに行くぐらいで、毎日はそうして流れていく。心躍るような事件もなく、退屈な平和が続いていく。ミツルが飛び出してから二年が過ぎ去っていた。

「はい紅茶、お待たせ」
「ありがと」
「そう言えばテラちゃんは、学校を出てからどうするか決めた?」
「えー、ヴェルネさんまで学校の先生みたいなこと聞くわけ?」
「ちょっと興味があるだけよ。で、どうするとか決めたの?」
「うーん、一応ね」
「へぇ。それはなに?」
「これだけはヴェルネさんでも教えないよーだ」
「あら、残念」

 もうじき学校と呼ばれる教育期間も終わりを告げる。フィオーレでは学校を終えると、なりたいものになれる。お金と呼ばれるものが無い世界で働く事は、強制ではなく日々を楽しく過ごすための趣味だ。誰もが自分のしたいことをしたいようにする。そんな悠々自適な毎日だ。もちろん、リベルラが定めているルールから外れることは出来ないけれど。
 ヴェルネさんの喫茶店の帰りにカプリコルさんの病室へお見舞いに行ったけれど、カプリコルさんは丁度眠っていたので、そっと扉を閉じた。病院の中はあまり人がいない。徹底管理されたフィオーレで、入院しなければならないような状況には、ほとんどならないらしい。カプリコルさんはずっとリベルラの管理を掻い潜って生活を続けていたため、こんなにも入院してしまう状況になってしまったらしい。

「姉さん!」

 病院を出たところでカンクロに呼び止められた。

「もう、その呼び方辞めなさいよ」
「姉さん!それどころじゃないんですよ!」
「何よ、あんた達に付きまとわれるのは学校だけで十分なんだけど?」
「いや、ほんとにそれどころじゃないんですよ、テラさん!」
「ペーシまで何なのよ、いったい?」



『変な宇宙船がフィオーレに着陸したらしいんです!』



「変?」
「リベルラのガードが固くて良くは解らないんですけど、ピカピカ無駄に光ってるらしいです」
「もしかしたら人類以外の宇宙人が乗ってるんじゃないか、とかも言ってました」
「そ、それってさ……」
「リベルラの社員がピリピリして走り回ってやがるから、ただ事じゃないですよ」
「今なら混乱に紛れて潜り込めるんじゃないでしょうか?」
「あんた達……」
「姉さん!」
「テラさん!」
「カンクロ! ペーシ! 案内しなさい、行くわよ!」



『了解!』




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16へ≫
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FARFALLA - 16 -


ハコニワノベル

「何者か知らんが、我々の言葉が解るのであれば大人しく出てきなさい!」

 見知らぬ宇宙船をリベルラの社員が取り囲んでいる。宇宙船は無駄にピカピカと光り輝き続けているだけで、なんら動きは無い。

「我々の言葉が通じないのであれば、我々はそちらを拘束することになる」
「抵抗せずに大人しく出てきなさい」

 再三の要求に応じる様子も無かった宇宙船のハッチが突然開く。その中から人影のようなものが現れた。しかし次の瞬間、宇宙船を取り囲んでいたリベルラの社員全員が、吹き飛ばされていた。

「何が起きているのです?」
「ウ、ウラーノ様、申し訳ありません。何者かがフィオーレ内へと侵入したと思われます」
「姿は?」
「それが良く確認できませんでした。現れたかと思った瞬間に、我々は吹き飛ばされてしまったので……」
「中へ侵入された確証は?」
「旧八番ゲートがこじ開けられています!」
「旧八番ゲートですか……、嫌な予感がしますね」
「嫌な予感ですか?」
「いいえ、こちらの話です。総員中へ戻って、不法侵入者を見つけ次第包囲、拘束しなさい」
「了解しました! 総員、中へ! 不法侵入者を見つけ次第包囲、拘束せよ!」



 角を曲がって走る。次の路地を左に、それから階段、公園を抜ける。見えてくる細い通路へと駆け込む。案内したカンクロがお腹を擦り付けながら通っていく姿が可笑しかった。

「なんでこんな道を選ぶのよ?」
「大通りは全部リベルラの社員が見張ってるんですよ……くそう、相変わらず狭いな」
「……変な宇宙船に乗ってた人は、どうやら中に入ったみたいですね」
「ペーシ、それ何?」
「これはですね、カプリコルさんに教えてもらった装置で、えーと確かトーチョーキと呼ばれるものですよ。これを使うとリベルラの通信内容が全部聞こえちゃうという優れもの……」

 ペーシが言い終わる前にそれを奪い取って耳に装着する。あまり聞きたくは無いけれど、ウラーノの声が聞こえて驚いた。聞き耳を立てながら進んでいくと、先頭を行くカンクロにぶつかった。目の前にはフェンスが立ちふさがっている。

「ちょっと、行き止まりじゃない! どうすんのよ! ?」
「前に来たときもこれに足止めされたんですよ」
「カンクロ、あんた前にここ通ったことあるの?」
「ちょいとヤボ用で」
「まぁ、いいけどさ。前に通ったならフェンスがあることぐらい解ってるでしょ?」
「解ってますよ。だからこそコレを持って来てるわけです」

 カンクロは自信満々に大きなニッパーを取り出す。そのニッパーを取り上げて、すぐにフェンスを切り刻んでいく。パチン、パチンとリズミカルにフェンスを切り刻む。そうして立ちふさがっていたフェンスに人が通れるほどの穴が開いた。

「ペーシ、旧八番ゲートってあそこだよね?」
「あそこです、ただ正面はリベルラ社員に封鎖されてると思います」
「姉さん! 倉庫エリアなら今は手薄になってるはず!」
「よし、行くよ! 邪魔するリベルラ社員がいたら……解ってるわよね?」



『もちろん、やっつけます!』




≪15へ
17へ≫

FARFALLA - 17 -


ハコニワノベル

 三つ目の倉庫を右に曲がって更に四つ。今度は左に曲がる。そこに積み上げられているコンテナによじ登ると見える、随分と錆びて見え辛くなった尻尾の長い黒猫のマークが付いている倉庫。辿り着くまでに四、五人のリベルラ社員がスペースヨーヨーでぐるぐる巻きにされたけれど。
 補修されてから随分と時間が経っている窓から中へ入り奥へ向かう。妙に分厚い扉をひとつ越えた先でトーチョーキではなく、直接ウラーノの声が聞こえた。

「君は今、完全に包囲されている! 大人しく出て来なさい」

 声の聞こえる方へと慎重に進むと、古いコンテナが並ぶ倉庫内の一角を、リベルラ社員が包囲しているのが見えた。取り囲んでいるリベルラ社員の手にはラッジョ銃、恐らく侵入者がこちらの要求に応じようとしない場合は、ここで始末するつもりなんだろう。

「部隊長、もうやってしまいなさい」
「し、しかし」
「これもフィオーレの治安維持のためです」
「了解しました。総員、一斉射撃準備! ……アタック!」

 躊躇無く引き金を引かれたラッジョ銃から数多の光線が乱れ飛ぶ。何者かが潜んでいるのであろうコンテナが音も無く蜂の巣にされていく。次第にその形を形成出来なくなったコンテナが崩れていく。

「相変わらず、おっかない治安維持だね」

 確かにそう聞こえた。瓦礫の山と貸したコンテナの上に人影が辛うじて見える。リベルラ社員達はその人影に銃口を向けた。

「まだ、慣れなくてさ」
「おい、止まれ! 止まれと言っている!」
「だってさ、十二分の一なんだよ?」
「何を言っている? 我々の言葉が理解出来るのであれば、動くな!」
「いや、だからさ、十二分の一なんだって」
「と、とにかく止まれ! さもなくば撃つぞ!」
「これ、ほんとに難しいな……」
「部隊長、構いません。処分してしまいなさい」
「はっ! 総員、一斉射撃準備! ……アタッ……! ?」

 そこにいた全員の視界から人影が音も無く消える。取り囲んでいたリベルラ社員の一番後ろにいたウラーノの前に、その人影は現れた。

「ほんと、手加減の仕方が解らないや。ね、ウラーノさん」
「お前は……」

 リベルラ社員に見つかってしまうことも関係無しに飛び出した。

「おいおい、ウソだろー? 普通生きてると思うか? な、ペーシ」
「ですよね、まさか生きてるなんて、誰も思いませんよね、カンクロさん」
「んー? おー! みんな久しぶり!」
「……」
「あれ? なんで黙ってんの?」
「うるさいわね、この……、この、バカミツルー! !」




≪16へ
18へ≫

FARFALLA - 18 -


ハコニワノベル

「バカな、辿り着けるはずがない。あんな燃料すら積んでいないガラクタでは……」
「まぁね。でも辿り着いてしまったんだから仕方がないよね」
「くっ……」
「あ、あんたね、どこ行ってたのよ!」
「え? あぁ、そりゃもちろんチキューだよ。すごいな、チキュー!」
「だったらなんですぐに戻ってこないのよ! 私がどれだけ心配したと……」
「ごめんごめん、向こうでも一から宇宙船作ってたら二年経ってたんだよ」
「バカ! ほんと、もうバカ! バーカ! バカ……」
「久しぶりなのにバカしか言われてないな……。まぁ話したい事は沢山あるけど、その前にやっておきたいことがあるんだよね」

 そう言いながらミツルは右腕をグルグルと回している。

「あんた何する気?」
「ん? ラリアット」
「バカ! あんたほんとにバカなの? あいつに私のラリアットが効かなかったの忘れたの?」
「ラリアット!」
「だから、無理だって……」

 瞬間、ミツルの姿が目の前から消えた。そして私の目に映ったのは――。



 ――二年前。



 振動、衝撃。激しく揺れた後に、浮遊感。カタパルトから無理やり飛び出した僕のストラトキャスターは、不安定な軌道のままフィオーレの裏側へと飛び出ていた。大量の太陽パネルが敷き詰められたその裏側を見ながら、制御することの出来ない宇宙船は漂っていく。
 激しい光源を確認した。太陽だ。その間に見えるのはテラがフィオーレにやってきた日に見た白い星が見える。そしてその先に青い星。

「綺麗だな」

 カプリコルさんによってロケット内の圧縮酸素は十分にある。しかしロケットには燃料がないため、飛び出したままの推進力で進んでいくことになる。そしていきなり大ピンチであることに気が付いた。どうやらあの白い星の引力に掴まってしまったらしい。このままだと、あの白い星に到着してしまう。燃料がないため、到着してしまった星に燃料がなければ、再び宇宙へと飛び上がることが出来なくなる。見たところ、あの白い星には燃料などはなさそうだ。

「まずいな、さっきテラがしたみたいに、圧縮酸素をロケットの外で破裂させて進路を変えるしかないか」

 なんとか打開案を思いついたものの、自作のロケットにそんな設備がないことぐらい知っている。それでも無理やりそれを実行しようと右往左往していると、船体が大きく傾きだしたことに気が付いた。白い星とは別の方向へと引っ張られている。その方向の先へ視線を伸ばしていくと、フィオーレから見たときよりもずっと大きく、美しく見える青い星があった。




≪17へ
19へ≫

FARFALLA - 19 -


ハコニワノベル

 衝撃を感じ、轟音を耳にして、空気にぶつかっているのに気が付いた。この青い星には空気がある。それも信じられないほど大量に。着陸用のパラシュートは不完全に開いてしまったものの、信じられない量の水の上に落ちたため、何とかなった。
 この星が青く見えるのは、この水のせいだと思ったけれど、大量の水の上に浮かぶロケットの中から見上げた、確かテラが空と呼んでいた天井も青色が広がっていた。

「凄いな、チキュー。いや、ここがチキューかどうか解らないけど」

 興奮冷めやらぬままに、外へ飛び出そうと思ったものの、押しても蹴ってもハッチは開かない。始めは水へぶつかった衝撃でハッチが開かなくなっているのかと思ったけれど、そうではなかった。何度も何度もハッチを押し上げて、なんとか外へ這い出た時に、ハッチの故障ではないことが解った。センサーで調べてみると、十二倍だった。チキューだと思われるこの星は、フィオーレの重力の十二倍。ただ単純にハッチが重たくなってしまっていて、開く事が出来なくなっていた。
 ハッチはなんとか開いたものの、水分摂取をしようと大量にある水を飲んでみたけれど、塩っ辛くて飲めたものじゃなかった。特に食料があるわけでもないので、そのままロケットの中で眠った。
 ――ガクン。何かに乗り上げるような衝撃で目が覚める。また何度も苦労してハッチをこじ開けると、水ではない何かにロケットが引っかかっている。ロケットから降りてみると立てる。どうやら地面のようだった。何日かそこを基点に調査を続けていたものの、空腹と喉の渇きで気を失った。
 どれほどの時間が過ぎたのかは定かではなかったものの、今自分が横になっている場所がベッドの上だということは解った。

「良かった、気が付いて」

 ほっかむりを被った女の子が安心したように顔を覗き込んでくる。

「え? ここ、どこ?」
「ここ? ここは私の家だけど?」
「いや、そうじゃなくて……ここってフィオーレ?」
「フィオーレ? うーん、ここはチキューだよ?」
「チキュー! ? ほんとにほんと? ここがチキューで間違いない?」
「え、う、うん。間違いないよ?」
「よっしゃー! 良かった! やったー! チキュー! 凄いな、チキュー!」
「も、もしかして、あなたって宇宙人なの?」
「え? 僕の名前はミツル。フィオーレから来たんだ」

 いまいち納得はしてくれなかったけれど、彼女――クローチェは僕をしばらく家に置いてくれた。海岸で倒れている僕を発見して、家まで連れ帰ってくれたらしい。ロケットが引っかかった場所からほど近い場所に彼女の家はあり、またそこからすぐ近くには集落と呼ばれる人々が生活をしている場所があった。




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