「なんでもっと具体的に説明しーひんかってん!」
「え?」
「え? ちゃうわ!」
「説明って何の?」
「そんなもん決まってるやろ、1080分も移動コストがかかることや」
「あー、あれか。もう過ぎたことだし、気にしないことだね」
「気にするわ! 1080分って十八時間やぞ? こんなことなら普通に移動コスト消費してれば良かったやん」
「静香」
「なんや?」
「切り替えて行こう!」
「……」
小さくガッツポーズをして見せた爽太の後頭部を叩いておいた。こいつといると調子が狂うだけじゃなくて、状況も悪くなっていく気がする。軽く息を吐き出してから、気持ちを入れ替えた。
槍紙舞子が開けた壁の穴から出て、館の奥へ向かいながら前に見えたものを一つずつ思い出してみる。
――繋がれた手、抱き合うように近い距離、片方には腕時計がなく、もう一方には腕時計、957、黒煙。
自分の腕時計を確認すると2846と表示されている。あの二人のうちどちらか一方は、かなり移動コストを消費しているはずだ。現時点で私よりも移動コストを消費しているとなると、かなりのリスクを負って移動しているに違いない。そうまでして移動する目的が何かしらあるのだろう。それと、あの場所は狭かったように見えた。個室なのかもしれない。確か個室は一階の奥だったはず。それからあのとき見えたのは、視界がゆっくりと塞がれていくような、閉じられていくようなそういう映像だ。
「あ!」
「なんやねん、急にでかい声出すなや!」
「見て見て静香! ほら、あれミウ★マヤだよ」
そう言ったかと思った矢先、爽太は走り出していた。確かに直角に折れ曲がった廊下の先に、等間隔で並んでいる複数の扉、その扉の一つの前で会話をしている男一人と女二人が見える。
――ピッ、ピッ、ピッ。
突然自分の腕時計が鳴り出す。慌てて確認すると、2843、2842、2841と数字が減っていく。
「あんのどアホ!」
スキップしながら、嬉しそうに視線の先を走っていく爽太を全速力で追いかけた。
「だから、これは十枚の演出でしょ。我々はさ、何も心配せずにここら辺の一室を借りて、次の出番を待てばいいんだよ」
「だけどマネージャー! ほら、この腕時計の表示がずっと減っていくんですよ?」
「マヤもこれ、演出とかじゃないと思うんですけど」
「これだから新人ってのは面倒なんだよ。いいか、この世界はなしょせん作られた筋書き通りに演じられてるだけなんだ。ぽっと出の君たちには、まだ理解出来ないかもしれないけど、これが現実」
「だけど……ねぇ、マヤ」
「うん。そうだよねミウ。あの、マネージャー。やっぱり不安なんですけど」
「大丈夫だって。それよりもさ、あの十枚とこうしてコネが出来たってことはかなりのアドバンテージだよ。同世代のライバルたちには完璧に差を付けたな。君たちのマネージャーに配属されて最先いいね。ふふふ」
「……」
「……」
「あのー、ミウ★マヤさん! 一緒に写真撮ってもらってもいいですか?」
「え?」
「え?」
「はぁ?」
「あ、すいません。これでちょっと写真撮ってもらえます?」
「へ? あ、あっと! ファンの方ですか? 写真? んー、全然オーケーですよ。あ、でも勝手にネット上とかにばらまかないで下さいね。さっ、ほらほら二人とも! 写真撮りますよ。スマイル、スマーイル」
「あ、はい」
「わ、分かりました」
視線の先で爽太が女二人に挟まれてヘラヘラしている。腕時計からはやっと音が鳴り止んだものの、数値は2823まで減ってしまっていた。もう歩いても大丈夫だけど、歩く気にはなれない。そのまま逆に加速していく。
「こちらの携帯で? かしこまりました。ではいきますよー、はいチー……」
「お前は、ええかげんにせぇっ! !」
――ピロリロリーン。
間の抜けた携帯の撮影音が、廊下に響く。それからゴンという鈍い音。
「え?」
「え?」
「あ、え?」
廊下の壁に激突した爽太と、激突させた私の間で男一人と女二人は視線を何度も往復させた。
「勝手に動くな言うてたやろ」
「あー、そうだったっけ」
「あんたわざとやってへんか?」
「うーん、どうなんだろうね?」
「うちが聞いとんねん」
「あ、すいません。写真どうなりました?」
「はっ、え? あ、はい。いやー、これはちょっと、そのー」
「いい写真撮れました? ほぅ……、これはまた綺麗なドロップキックの写真ですね」
「……で、ですね。あの、顔、大丈夫ですか」
「愛のムチですから」
「は、はぁ」
爽太の耳をちぎれるほど引っ張ってから視線を戻す。男はスーツを着ていて、大きめの手帳を持っている。聞こえていた会話からするに、ミウ★マヤのマネージャーなのだろう。女二人はパーティ開演時に歌を歌っていたミウ★マヤの二人だ。
「お、岡崎さん。とにかくこの後私たちはどうすれば?」
「だから、この辺の部屋を一室借りて控え室として使えばいいでしょ。ほら、ここなんて別に鍵もかかっていないし」
「だけど勝手に入るのは良くないと思います」
「いいって、何か言われてもすいませんでしたで済む話なんだから。んー、ここはちょっと狭いか……。こっちは?」
岡崎と呼ばれたマネージャーらしき人は、並んでいる扉を片っ端から開けて中に入っては出るを繰り返している。その姿を不安そうにミウ★マヤの二人が眺めている。
「不安に思って正解や。だから下手に行動しないことやで」
「へ? あ、ありがとう。あなたは?」
「そこにいるどアホのパートナーや」
「それより、今言った下手に行動しないってどういう意味?」
「あんたらのマネージャーみたいなことしないほうがいいってこと」
「何か知ってるの? この余興のこと」
「最悪の事態だってことは知ってるで」
「……じょ、冗談だよね?」
「あんたら知ってるんか? かなりの数の人が死んでんねんで」
「嘘! ?」
「余興の説明は聞こえてたし、腕時計も十枚のスタッフさんに付けられたけど……」
「そう言えば私たちが歌ったあとに、変な爆発音が何度もしてた」
「もしかしてあのとき?」
「そうや」
「……」
「……」
無駄に不安をあおってしまったかもしれない。それからミウ★マヤの二人は口を開かずに、お互いに見つめ合って固まっている。
「とにかく、考えなしに動くと悲惨なことになるで。あ、それと……」
「ま、まだ何かあるの?」
「何?」
「あんたらの歌、うち好きやで」
「へ?」
「ほ?」
「これからも頑張ってな」
『あ、ありがとう!』
無理やり自分撮りで写真撮影に勤しんでいた爽太を引きずりながら、反対側の角まで移動すると、一階へ降りる階段を発見した。
槍紙舞子がすぐ側の壁に対してまっすぐ向かって立った。その横顔からは、今までのチャラチャラした雰囲気はまったく感じられず、どことなくヒリヒリとした冷たい空気を感じる。静かに呼吸を整えているその姿と一緒に、頭の中に映像が流れこんでくる。
「あ、あかん! バンチョ、小早川さん伏せて! 早う!」
「えー? しーちゃんどういうこと?」
「……バンチョ、いいから伏せよう」
「千紗までどうしたのよー」
「いいから、いいから。ね?」
二人は渋々とその場に伏せる。私も爽太からスルスルと崩れるように床に伏せた。「ん? どうしたの静香」と疑問を投げかけてくる爽太のことは軽く無視しておいた。
「……一蹴必貫」
まるでダンスのターンのように、槍紙舞子がその場で軽やかに回ったかと思うと、その回転に合わせるように鋭い蹴りを壁に向かって放った。
――コツ。
何事もなかったように、蹴り出した足を元に戻すと「出来たしー」とさっきまでの調子で話しかけてきた。それから数秒後、蹴られた壁から裂けるような音、そしてすぐにその音が砕けるような音に変わったかと思えば、一瞬で消し飛んだ。その衝撃が遅れて周りにある機材や、椅子や机などをそこら中に撒き散らした。
これをやってのけた張本人の周りには、一切衝撃が来ていないところを見ると、これは無理やり力づくで行ったことではないらしい。守紙真には吹き飛ばされた長机がぶつかっていたが、まるで意に介していない。私とバンチョ、小早川さんは伏せていたおかげで特に目立った被害はなかった。何も知らずに立っていた目の前の爽太には、かなりの被害があるかもしれない。後ろ姿しか見えないが、さっきから微動だにしていない。軽い気持ちで盾にでもなってくれればと思っていたけど、すこし行き過ぎだったか。
「おー、凄い凄い」
目の前の爽太は、ただ素直にそう言った。
「なにこいつ、マジキモイんですけどー。これだけ機材が飛び散ったってのに、もしかして、無傷ー?」
「ん? なんで機材が飛び散ったの?」
「アタイが今、目の前で壁に蹴り入れたからだしー。さっきの今で覚えてないとか、ウケルー」
「あ、静香見て! 壁にでかい穴開いてるよ。ここから出れば移動キャスト減らないんじゃない?」
「移動コストやろ……」
「アタイらは尻紙を見つけ次第始末することにしたから。そのついでに、あんたらもここから出ていいしー」
「よし……行くか、槍紙舞子」
「当たり前でしょ。十枚の秩序を脅かしたことの罪はー、しっかり償ってもらわないとだしー。それに、新入りに舐められっぱなしじゃ、攻守二枚としてのプライドズタズタ」
「そうだな。例え尻紙一族のトップだとしても、攻守二枚で排除できない道理はない」
「じゃ、アタイらは行くしー。ここは勝手に通ればいいけど、あの尻紙一族のことだから、下手に首突っ込めば命は無いと思うけどね。あはは!」
「一つ忠告しておく。我々の邪魔だけはするな。とばっちりで殺されたいなら別だがな」
「うちらは尻紙のトップ捕まえて、この余興を終わらせるのが目的やねんから、そっちこそ邪魔せんといてや」
「まー、早い者勝ちってやつ? だしー」
「そういうことだな」
お互いに、壁に空いた直径数メートルはある穴の前で睨み合った。こいつらより先に尻紙一族のトップを探し出して余興を終わらせなければならない。余興を完全に終わらせることが出来なかったら、あの二人があのとき見えた未来のように犠牲になってしまう。未来は変わらないものかもしれない。だけど、確定した未来だと決めつけずに、自分に出来ることを出来る限りでやってみるべきだ。そう強く思った。なんだろう、なんとなく爽太と出会ってから未来に対する諦めが少なくなってきた気がする。そういえば爽太の姿が見えない。
「あー、こいつはやられたなー」
壁に開いた穴の奥から声が聞こえる。睨み合っていた三人同時にそちらを確認すると、穴の向こう側に爽太が腕組みをしているのが見える。
「またこっちに気付かれずに動いてるしー。ねぇねぇマコちゃん、あいつさー割ちゃんみたいじゃない?」
「確かに。あいつも割紙もどっちも薄気味悪くて嫌なところも似てるな」
「マコちゃん、相変わらず毒舌だしー」
「爽太! 勝手に動くなって何度も言うたやろ!」
「ストップ!」
しばいてやろうと穴の中へ進もうとすると、向こう側で爽太が両手を前に出して制止してきた。
「なんや? 命乞いでもするんか?」
「違うよ。だけど、こっちには来ちゃ駄目」
「ならあんたがこっちに来たらええ。な? ちょっとしばかれとこか?」
「うーん。それもお断りだね」
「なんやねんそれ。まぁええわ、今からそっちに行くから逃げんなや」
「だから来ちゃ駄目だって」
「やかましいわ。ほな、どないせい言うねん」
「夫婦漫才見てる暇ないしー。アタイらはもう行くからー」
「あぁ、あなた達も辞めた方がいいですよ」
「指図されるの嫌いだしー」
爽太が制止するのを無視して、槍紙舞子と守紙真は穴の向こうへと行ってしまった。あの二人が先に尻紙一族のトップを片付けてしまえば、安全にこの余興を終わらせることが出来なくなってしまう。これ以上の遅れは致命的だ。壁の穴に飛び込むようにして、私は穴の向こう側へと出た。
「あちゃー。なんで来ちゃったの、静香」
「あほか、これ以上遅れられんやろ……って、なんでやねん」
「やられたしー。なかなかやるじゃん、新しい尻紙のトップ。益々お仕置きしないとだしー」
穴を抜けた先の廊下側から穴の上を確認する。ため息のような、こらえきれなくなった吐息が漏れた。
「しーちゃん? 私達もそっち行っていい?」
「あかん! 絶対にあかん! 二人は中で待っとって!」
「どういうこと?」
「携帯でまた連絡するから。絶対、この穴は通ったらあかんで! いい? 悪いけど中で待っとってな」
「う、うん。分かった」
薄目にして、まるで祈るように自分の腕時計を確認した。そこには2853という数字が無機質に表示されているだけだった。もう一度視線を穴の上に戻していく。出来れば嘘であってほしいと祈りながら。しかしそこには、デジタル時計のようなもので1080という数字が表示されていた。
――ガッシャーン!
何かが破裂するような騒音が収まると、さっきまで爽太が立っていた目の前に守紙真がいた。突き出した肩が積み上げられた機材を粉々に粉砕していて、あたり一面は機材の破片と埃が巻き上がっている。
「いきなり全開すぎだしー。これじゃもう粉々でご臨終ー」
「仕方ないだろう。これが我々攻守二枚の仕事だ」
「……」
「あぁー、アタイは別にさー、こういうことがしたくてあんたを呼んだわけじゃないから。不可抗力ってやつー? ま、そもそもあんたが、マコちゃんに素直に話さないからこういうことになるしー」
「これで邪魔者はいなくなったな。おいお前、これが最後だ。この状況は尻紙が意図的に作っているのか?」
「……」
「答えもせず黙るか。ならばもう一度……」
「あのー? さっきも言ったんですけど、僕の静香をいじめないでもらえませんか?」
「なにぃ?」
守紙真の後ろにいる槍紙舞子、更にその後ろに爽太がいた。槍紙舞子は「いつの間にだしー」とか言っている。
私はさっき首を掴まれていた影響で酸欠状態なのか、どうしても立っていられなくなってその場に座り込んでしまった。
「避けただと?」
「ん?」
「この俺の攻撃を避けたのかと聞いている」
「んー? それが何の話か知りませんけど、静香をいじめちゃだめです」
「なにこれー、マコちゃん完全に手玉に取られてるしー。マジウケルー」
「あ、そうだお姉さん。これ返します」
「はぁー?」
そう言いながら爽太が差し出したのは、槍紙舞子が着ていたはずの布切れだった。よく見ると槍紙舞子はなぜか下着姿になっている。「ちょ、なっ! ?」とか言葉にならない声をあげてから、槍紙舞子はその布切れを乱雑に奪って慌てて身につけた。
「お前マジ何者ー?」
「だから何度も言ってますけど、静香と一生一緒にいる男です」
「ほんとこいつ意味不明なんですけどー」
視線だけで槍紙舞子がこちらに疑問を投げかけてくる。
「アホか。うちにも意味不明やわ」
「あはは! なんかもうバカバカしいしー。やっぱりマコちゃんじゃ、話になんないじゃん。ここからはアタイが話すしー」
「……すまんな」
「えっとー、一応謝っておくけどさー、マコちゃんは気が短いから、聞かれたことはさっさと答えた方がいいよー」
「さいですか」
「でさー、さっきあんたが言ってたこと。つまりはー、腕時計を外しても余興は終わらない。爆発するのは腕時計じゃなくてー、最初の紅茶に入っていた何かってことは、間違いないの?」
「……間違いない」
「それは何を根拠に言っている?」
「もー、マコちゃんは黙ってなよ。話がややこしくなるしー」
「……すまん」
「もう一度聞くけどさー、あの映像で尻紙が説明していたことは嘘でー、腕時計を外しても命の危険は変わらないってことは、間違いない?」
「正確に言うなら、そうじゃない」
「どう言うことだ!」
「マーコーちゃーん?」
「……わ、悪かった」
さっきからなんなんだろう、この守紙真という男。あれだけ傍若無人で圧倒的な力を持っているというのに、まるで槍紙舞子の言いなりだ。あんなチャラチャラした女一人を捻り潰すことなんて、さっきの一撃からしても容易いだろうに。何か弱みでも握られているのだろうか。
「でー? なにがそうじゃないのー?」
「あの映像で説明された余興のルールは、嘘じゃなくて本当や」
「あれー? それならキーを見付けるだけで、参加者の半分は助かるしー」
「時計を取り外すことが出来れば、この余興をクリアすることができる。あの映像で言われたのは余興のクリアだけや。それに、キーを見付けても二人に一人は助からない。二人に一人は助かるとも言ってへん。その証拠に、外れた時計はずっと動き続けてる」
「つまりどういうことー?」
「この余興を仕掛けてきた奴は、うちらに助かる道なんて残してないんや」
「……ふーん。じゃ、あんたはそんな助かる道のない状況で、何をしようとしてたわけー? 移動コストだっけ? そのペナルティなしで、ここから出てどうする訳?」
「そんなん決まってるやろ。この余興を仕掛けてきたやつを捕まえて、この余興を終わらすねん」
「……なーるほどねー」
槍紙舞子はうんうんと頷いてから「だってさー、どうするマコちゃん?」と、黙り続けている守紙真に尋ねた。守紙真は「なるほどな」と言うだけで、それ以上は何も言わなかった。そのまま二人は小声で何やら会話を始めてしまった。
「静香、大丈夫?」
「ぼちぼちやな。ちょっとだけお花畑見えたけど」
「しーちゃん、ほんとに大丈夫?」
「ごめんね、私たちじゃ助けることも出来なくて……。どうなることかと思っちゃったよ」
「そんなに心配しなくても大丈夫やって、意識はあるし、どこも怪我とかしてへんから」
と言って立ち上がろうとすると、ふらついて立つどころじゃなかった。気付いたときには既に爽太に支えられて、かろうじて立っている状態になっていた。「お昼寝タイム?」とか聞いてくる爽太に支えられているのを、なんとか拒否したいところだけど、残念ながら今は自力で立つことはできそうにない。さっき守紙真は自分の握力が二百を超えてるとか言っていたっけ。そんな握力で首を握られていたと思うと寒気がする。それからもう一つ気になること、確か我々攻守二枚とかなんとか言っていた。これは塗紙一が言っていた役割の序列のことかもしれない。あと、わざわざ我々と言っていたのだから、守紙真と槍紙舞子がその攻守二枚ということだろう。
「じゃ、それで決まりだしー」
小声で会話をしていた槍紙舞子が、コツコツコツという足音を立てながら近付いてくる。
「アタイら、あんたに乗っかるしー」
「は?」
「あんたの話の信憑性はいまいちだけど、現時点での状況から判断すれば辻褄はあいそうだしー。それに、アタイらに対して挑戦的な十枚の新入りには、きっちりお仕置きしないとだしー」
「あんたらの都合なんかどうでもええけど、とにかくここから出られんの? あんたらだけの出入口とかあるんか?」
「今はないしー」
「それやったらどうすんねん……って、今は?」
「そ。その出入口は今から作るしー」